h2workstyle

代表になられた経緯を教えてください。

私と創業者の間には2人の社長がいました。
父が創業で、その時の専務が社長になり、その後私の兄(長男)が社長になっています。
その後、私が引き継ぐ事となりました。なので私でもう4代目になります。
札幌市場は今年で57周年なので、同業社の代表は2代目が社長をしていることが多いのですが、弊社のように社長が4代目の会社は他にありませんね。
私の前職も青果業界で働いていましたが、その会社も石田商店で役員をされていた方が立ち上げた会社に在籍し、仲卸ではなく「場外市場」、量販店へ青果を直接販売していました。
兄が石田商店を継ぎ、私は別の会社で働くという考えでいたので、まさか私が石田商店を継ぐ事になるとは夢にも思いませんでした。
そのため創業者の父から仕事面で話を聞くということはほとんどありませんでした。
現在の札幌市場は元々「札幌丸果」という荷受会社(荷物を集める会社)の石田社長が土台を創った会社で、この方が札幌市場を大きくしたといえますが、石田社長の弟が私の父なので私の叔父なんです。
そのため札幌市場の中でも石田商店は札幌の青果業界では老舗で、歴史ある会社です。なのでこの会社を無くしてはいけないという思いがあり、4代目になりました。
私が小学校の頃から、父も母も青果市場で仕事をしていたので、学校が終わると真っ直ぐ市場に来るのが当たり前で、中学・高校になってからは札幌市場でアルバイトをしていました。
他の業界で働くことはまったく考えていなく、幼い頃からこの青果業界で働くというのは自然な流れだったのかもしれませんね。

社員の教育や業務改革について教えて下さい

現在トップで働いている人たちは、私が社長になるより前から石田商店で働いている人ばかりです。
仕事のことについては自分より先輩、十分仕事の内容を理解している方ばかりなので当然やるべきことは分かっています。心がけているというよりは「自由にやってもらう」という姿勢でいます。
私が社長就任後、業績を改善するために、経費の見直しや仕入れの方法の改善、新たな取組として仕入れのチャンネルを全国に広げるなど、積極的に社内の改革を進めてきました。
仲卸としては仕入れのほとんどが「札幌丸果」や「ホクレン」から商品を仕入れていました。あまり別の所から仕入れるのは良くないのですが、それだけではお客様のニーズに答えられないので、最近は積極的に東京、大阪や九州からでも仕入れを行い、社員にも積極的に全国の生産者や業者と商談し仕入れ先を増やし、権限を与え責任ある仕事をしてもらう事で、少しずつですが社員が成長しています。
私が以前勤めていた会社では全国の業者から仕入れしていましたので、新しい事と思いませんでしたが石田商店にとっては改革になっています。
以前勤めていた社長が先進的な考えの方だったので、当時の事を考えると今はとても役立っているので感謝しています。
今では全国から商品を仕入れる改革が社員に浸透し、積極的に商談・仕入れ出来るようになり、お客様からも支持頂けるようになってきました。

仕入れの地域を広げることで、幅広い商品を、時期にとらわれず仕入れることができるようになり新しいアイテムも増え、値段も安くなります。私が始めた当時は殆どの企業が道外からの仕入れをおこなっていませんでした。
その頃は札幌市場に売上があり、市場で販売している商品を購入すれば楽だったので、あえて全国からの仕入れに取り組む企業はいませんでした。
現在弊社では仕入れの2割程度が道外の商品です。

石田商店の強みになっていることはどのような事ですか?

荷受会社から買うのとは違ってロット数が多く苦労も多いです。
雪でトラックが動かないというようなこともありました。荷物が夜中に届いたりと、そういう少々ややこしいトラブルも当然あります。
しかし今は情報社会です。「札幌ではこの値段、でも東京ではより安く仕入れられる」等という情報がとても大事です。
現在、札幌の場外流通の同業他社の売上も上がってきています。
生き残るために仕入れのチャンネルを広げ、特色を持つことでアピールし新しいお客様とお取引ができるようになりました。

情報を仕入れることで、よりコスト面でシビアに考えることができ、会社も変わってきたと思います。
なんだかんだ言ってこの業界も人間関係でなりたっていますから、値段のこともそうですね。

地域によって旬の物を手に入れるために仕入先を変えようとしても、荷受会社も「この地域のものは取れる」「でもコチラは取れない」(佐賀は入るけど、熊本はやりとりがないから入らない等)という各市場ごとにある規制の中で仕入れをおこなっています。
なので自らチャンネルを全国に増やす必要があるのです。

現在は数えるほどしか出来ていませんが、今後もこの仕入れ改革はおこなっていきます。
就農者の方とのお取引も増やしたいのですが、作った商品があっという間になくなってしまうことがあります。
安定したロットと品質を確保できないとスーパーをお客様に持つ弊社ではお取引は難しいです。
しかし納品屋・小売屋という別の売り方もありますから、就農者との直接取引の話が来れば相談にのることはできると思います。
現在スーパー・量販店・商社が直接就農者と取引する活動を始めています。
負けていられないということはないのですが、仲卸企業としては厳しくなる原因ではあります。私たちが出来る事は、今後も魅力ある商品を仕入れられるよう、販売チャンネルを広げ、お客さまの期待にお応えする事なので、今後も真摯に取り組みお客様に喜ばれる仕事をおこなっていきます。

Workstyle一覧